インプラント治療が第3の歯と呼ばれるようになって久しいですが、今もなおインプラント治療は進化を続けています。歯のないところに人工の歯根を埋入し、人工の歯を装着することで、入れ歯のような違和感なく自分の歯のように蘇らせます。
近年、抜けた歯の治療法としてインプラントを選択される患者さんも増えてきています。それだけこの治療法に大きな可能性を感じている方が増えてきたとも言い換えられます。
インプラントは、噛む力や耐久性だけでなく、見た目の美しさや痛みをどれだけなくせるかといった次のステージへ進んでいます。歯の健康は生きていく上でとても重要な課題です。今回は、インプラントの最新治療法について解説できたらと思います。
骨誘導再生法(GBR)
インプラントは、インプラント体を埋め込むために、骨の厚みがある程度必要な治療法です。以前は、骨量が足りずに、インプラント治療ができずに諦めるケースも見受けられましたが、骨誘導再生法(GBR:Guided Bone Regeneration ※以下GBR)のおかげで可能になっています。
GBRとは、生体が持っている治癒能力を利用し、骨の欠損部分を治していく手術の手法です。
インプラントをするには骨が足りない部分に「自家骨」もしくは人工骨を埋め込み、軟組織が入り込まないようにメンブレンという特殊な膜で骨の欠損部分を覆い、骨芽細胞を活性化し、増殖を促します。
※自家骨とは、自分の骨のことを指し、インプラントでは下顎の先端や下顎の奥歯の外側などから採取するのが一般的です。
GBR法はインプラント体を埋め込む前に行うか、インプラント体を埋め込むのと同時に行うかの2パターンあり、これは骨の量によってどのタイミングになるかが決定します。医師の説明をきちんと聞いておきましょう。
オール・オン4
オール・オン4は簡単にいうと、そう入れ歯の方のためのインプラントです。全ての歯を失った場合、従来のインプラント治療では8〜14本のインプラントの埋め込みをしなければならないので、負担の大きな治療法でした。しかし、最新の医療技術の進歩により、4本のインプラント体をバランスよく埋め込むことで、すべての歯を支えられるようになりました。
その結果、治療の負担も最小限に抑えられます。
また、オール・オン4はその日に固定式の仮歯を入れるので、その日からものを噛むことができるのも大きなメリットです。総入れ歯とは違い、ちゃんと噛むことができるし、噛む力も弱くなりません。
サイナスフロアエレベーション
上顎の奥歯の歯槽骨が薄くなっている場合に、骨量、骨の高さが足りないケースが多々あります。これを上顎洞と呼びますが、この上顎洞の中に骨を移植する仕組みをサイナスフロアエレベーションと呼びます。
上顎洞に自家骨または、人工骨(骨補填剤)を入れて、上顎洞部分の骨の厚みを作り、インプラントします。
フラップレスインプラント
歯肉粘膜を切開することなく、インプラント体を埋め込む方法です。一般的なインプラント治療では、インプラント体を埋め込む際に、歯肉を切開して顎の骨を露出させる必要がありました。その結果、痛みや腫れとは切っても切れないものでした。
しかし、フラップレスインプラントは、ドリルでインプラント体を埋め込む箇所に、必要最低限の穴を開けるだけなので、痛みや腫れも少なく、血もあまり出ません。手術時間も2本で10分程度ですので易しい手術とも言えます。
ただし、骨量が不十分だとできない場合もありますので、医師の判断に委ねましょう。
このように、インプラントの中でもダイバーシティが確立されてきています。歯を諦めるのではなく、インプラントで綺麗な歯を復活させるためにも、お近くの歯科医師に相談をしてみましょう。
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